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謳う丘(DISC01-01)
この曲のメロディとコードは、実はゲームの立ち上げよりも前にありました。アルトネリコという作品は、私にとってはこのプロジェクトと共に始まったものではなく、2000年には既に有ったものなのです。いや、アルトネリコという名前を冠していないウチから世界だけは存在していました。その創造年は1997年。そんな思い入れの深いオリジナル世界。更にこのプロジェクトの話が浮上するまで、ゲーム化できるなどという話は夢物語のように思っていましたので、せめて個人アルバムとして、音楽でこの世界を綴ってみよう…と思い、作った1曲目が謳う丘だったのです。

謳う丘は、自分の作曲する音楽としては珍しく、すんなりと自分で受け入れられた曲でした。自分で創った曲は、何度聴いても納得いかず、最後まで自己評価が低いのが常なのです。そんな中で謳う丘は、まだメロとコードしかないうちから気に入っていて、アレンジする前からちょくちょく聴いていたのを覚えています。
その後、志方さんと出逢い、この曲を歌ってもらえるのは彼女しかいない!という想いで志方さんにお願いしました。謳う丘は、志方さんにもとても気に入っていただけて、また志方さんファンの皆様にも受け入れていただけて、私としてもとても嬉しく思っています。
いつ頃からか、いつの間にか、多重コーラスに魅了され、エスノとポップスの狭間のような音楽を作り続ける音屋になってしまいました。更には年間数えるほどしか作曲しないような生活になってしまいました。しかし、音への情熱は昔以上です。これからも、様々なアプローチで、音というものを表現していけたらいいなぁと漠然と思っている次第です。(土屋)


ファンタスマゴリア(DISC02-39)
この曲、いきなりネタバレ満点ですよね。ゲーム発売1ヶ月以上前だって言うのに。そんなわけで、この曲に秘められた一つのエピソードをお話ししましょう。

この曲、作っているときは全然気づかなかったのですが、私が入社して一番最初に手がけた作品「エリーのアトリエ」のエンディング曲第一稿と酷似しています。このエリーの第一稿として作った曲は、当時のディレクターによって呆気なくボツにされ、その後作った「明日になれば」という曲が採用されています。そのボツになった曲と非常に似ているのです。その曲は実は、ちょっとアレンジを加えて、GBA版「マリーエリー&アニスのアトリエ」のエンディングとして蘇りました。しかし歌は載りませんでした。
今回、無意識にまた同じような曲を創ってしまったということは、私のエンディングに対する観念は、この曲のイメージの様なものでガッチリ固まっているという事になるのでしょう。実際、このファンタスマゴリアをビジョン通りに創りあげたときの達成感は、相当なものでした。特に、みとせさん、志方さん、霜月さんという個性派歌い手さんそれぞれの力を引き出して、そして感動のエンディング曲を創りあげるという事に、自分自身で及第点を与えられたと思っていたからでしょう。
また、この曲を完成させるに当たり、述べ30名ほどの方に「世界中の人々」というコーラス隊をお願いしました。その中には皆さんもご存知の声優さんもいらっしゃいましたし、アーティストさん、そしてガストの社員、更にはバンプレストさんのプロデューサーさんまで参加していたのです。みんな本当に楽しく、何かのゲームをしているかのように楽しんで謳ってくれました。この曲からは、きっとそんな力を感じ取ってもらえると思います。この曲に馳せた想いは共存、人類一列皆兄弟!です。みんなで手を取り合って、幸せな世界を創っていきたいという願いがいっぱい込められています。この曲を聴いた皆さんにも、沢山の幸せが訪れますように。(土屋)


朝露溶けて(DISC01-05)
開発初期のころに製作した曲なのですが、従来の音源の主従関係を逆転させることを模索していた時期でした。というのも私はハードウェア音源をメインに使用して、それを補う形でソフトシンセを使用していたのですが、クオリティー面や作業の効率化を考慮して、ソフトウェア音源をメインに使用したいと考えていました。この曲を完成させたときに新しい製作スタイルに確かな手ごたえを感じて、自分の中で使用する機材の主従関係が大きく変わっていきました。(中河)

Shooting Star(DISC01-37)
合成音声が印象的な天文台の曲です。今回は歌がテーマになっているので、この音声は様々な曲で使用されています。劣化した音質とやや無機質なトーンが近未来系や退廃的な雰囲気をかもし出していますが、フォルマントを少女の声っぽくすると、妙に可愛げがあって笑えます。で、何をしゃべっているかは曲によって違うので皆さんでじっくり聴いて確認してみて下さいね。(中河)

AT inside~共鳴~(DISC02-25)
割とミニマル系の手法を好んで使うことが多い私(と阿知波さん)ですが、これはミニマル音楽そのものですね。無機質なシーケンスフレーズに始まり、徐々にパート数を増やしつつ、やがて切なく美しいピアノの音色が響きだすと、音世界にグッと引き込まれる気がします。本来、こういう音楽はメインとなるフレーズを何度も脳に染み付くまで聴かせてからじっくり展開させるのが王道ですが、さすがそんなことをしていたら5分超の長い曲になってしまうので、ダイジェスト版っぽく構成してみました。普段こういう音楽を聴かない人も、飽きずに聴ける楽曲に仕上がったのでは‥‥と思ったのですが、今このコメント書きながら聴き直してみると展開早っ!(中河)

Vidarr(DISC01-13)
カシ○ペア風のイントロがお気に入りのナンバー。

キーボード3台並べて、オルガン・ブラス・オケヒットの3音色で演奏って感じです(笑)
さて、この曲ではEWI3020を使用しました(知らない人はさらっと流してくだされ)が、ギターの方は打ち込みなので、正確無比な上に超絶技巧もお手の物です。(打ち込むのはめちゃくちゃ大変だけど)
そのため、対旋律を吹いたりギターとユニゾンで合わせるのはかなり苦労しました。
特にチョーキングに合わせてベンドコントロールをするのは難しかったです。
結局「テンポフリーで吹いたほうが良いかも」ということで、部分的にバックトラックを聴かずに録音したら以外とうまく吹けたりしました。
最終的にはEWIレベルが3ぐらい上がったかも(笑)(中河)


新緑の大地(DISC01-04)
パンフルートの素朴な雰囲気が印象的なワールドマップの曲。大地の息吹を感じさせるこの音色は小編成のちょっとした楽曲だけでなく、壮大なナンバーにも十分に耐えうる艶とインパクトを持っています。

パンフルートと言えばやっぱりザンフィルですよね。というかザンフィルしか知らないし。そんなわけでザンフィルっぽさが出てるかな?(中河)


夕焼け空は茜色(DISC01-17)
この曲は「いい雰囲気のイベント曲」という指定だったのですが、いい雰囲気をどう捕らえたら良いのか分からず土屋さんに聞いてみると、某ギャルゲーのサントラCDを持ってきて、「こん中に入ってる曲からいい雰囲気系のやつを参考に」ということになりました(←おい!)。

で、それを聴いてみるとなんかピアニカを吹いている曲があったのですが、これがなかなかいい雰囲気だったので、じゃあこれに対抗してハーモニカで‥と思ったのですが、ハーモニカなんて持ってないし吹けないので、手持ちのウィンドコントローラー(WX5)を使いました。土屋さんトコから調達してきたVl70-mというちょっとユニークな構造の音源に繋いで、気に入った音色で吹いてみると意外といい雰囲気に!
こうしてピアニカに対抗してハーモニカ(っぽい音色)の曲ができたのでした。
ついでにこうして私は土屋さんのVl70-mをゲットしたのでした(笑)(中河)


Chornicle of Gene(DISC02-35)
この手のドキュメンタリー番組風の曲は個人的にすごく好きで、一時期こうしたものばかり聴いていた時期があります。サウンドトラックの中でもドキュメンタリーというジャンルは興味深く、一度はチャレンジしたい分野です。

しかし受信料というものはなぜ払わねばならないのか今でも拙者は疑問に思っているのだが、油断しているうちに毎年引き落とされてしまうのでござる。無念。(中河)


Brave Beat(DISC01-16)
この曲、実はラスボス曲として製作していました。しかしちょっとラスボスにするには安っぽいかなという気がして結局やめてしまったのですが、後ほど企画側から戦闘曲の追加要望が来たので、製作途中でやめていたこの曲を完成させて採用したのでした。

イントロはレーヴァテイルの祈りをイメージしたのですがちょっと神秘的ですよね。そういえば、今思い出したのですがラスボス曲「終章・幻想遺伝子」ってオープニングでも使われているんですよね?(土屋さんからオープニング用に編集したバージョンが欲しいという依頼があったので)。
ラスボス曲が最初に流れるゲームって‥‥ある意味斬新だ!
いきなりラスボス戦なみの緊迫感を演出するとは思い切ったことをするなぁと思いました。
でもいきなりラスボス戦並の難易度だったら嫌ですけどね(笑)(中河)


マッタリビング(DISC01-20)
曲名はマッタリとリビングを合成したのですが、なんでこんなことになったかというと‥。

「マッタリリビングイベント」という指定の楽曲があったからです。
で、私はもう意味がチンプンカンプンでとりあえずマッタリ感とリビング感を出そうと思いつつ曲を作っていたら、なんか頭のなかにダイ○ンエアコンの某キャラクターが一杯現れて上空を飛び回り始めました。
そして出来上がったのがぴ○ょんくんのテーマ曲‥じゃなくてマッタリリビングイベント曲なのです。みんなには内緒だよ!(中河)


空の街(DISC02-14)
やっぱりこういうのほほんとした曲がないと落ち着きませんよね。

なんか今回のサントラはドカーンていう派手なパーカッションが鳴り響く楽曲が多く、ヘッドフォンで聴くにはちょっとつらいものがあります。私も年寄りになったなぁ。
そんなわけでみんなも耳を大切にしましょう。
‥じゃなくてコメントなのですが、楽曲のイメージとして「心地よい氷の舞。オーロラの雰囲気」という指定がありましたので、神秘的なひんやり感と幻想的な暖かさというなんか相反するような温度感を絶妙にミックスしてみたつもりです。
女性コーラスの神秘的な響きや、シンセのふわふわと舞う粉雪のような音色は、涼しげだけど温かみもあるとは思いませんか?(中河)


Fenrir(DISC01-06)
戦闘曲作りが大好きな僕ですが、さすがにこう長いこといくつも作っていると開ける引出しも枯渇してくるというもので、ブランニュータイトル・アルトネリコのバトルにはどんな感じの曲が良かっぺや~なんとか違うイメージ出したいしなあ~と苦心してあれこれ試案を出して最終的な採用案となったのがこれです。

アナログリズムマシンライクなリズムトラック、硬質なベースライン、思い切り左右に振られて執拗に同じシーケンスをくり返すマリンバ、シンセリードが唄うヒロイックなメロディー、そしてブレイクにはラップが登場します。
僕らしくもあり、らしくなくもあり(?)聴いた方の意見も真っ二つに割れるんではないかとドキドキワクワクしております。(阿知波)


チクタクマン(DISC01-11)
お間抜けなシーンにひろく使われておる曲です。こういった状況描写系の曲を作ったのはけっこう久しぶりで楽しく作りました。

ちなみに僕がこういった状況描写系の楽曲を作るときにいつも参考にするのが、かの有名なジャズピアニストにして作曲家・羽田健太郎氏の楽曲です。名作『マクロス』はじめ数多くのアニメやドラマ、最近はゲームにも曲を提供しておられますが、中でも僕が傑作だと思うのは『名探偵ホームズ』(TVアニメ版)のサウンドトラック。
OP/EDテーマソングもあわせて16トラックとコンパクトなサントラですが、あらゆるドラマシーンに柔軟に対応し、かつ単純な劇伴の範疇を超えて想像力をグイグイ増幅させてゆく手腕はさすがと言うほかありません。
あ、ちなみに曲名はゲームのほうのサブタイトルがアレなのでそこからナニして‥分かる方には分かりますね。(阿知波)


Berserkr(DISC01-25)
冒頭から三味線のリフがジャパネスク・パンクなイメージを演出する印象的な曲ですが、ともするとお侍が大勢でタコ踊りをくりひろげているイメージが展開されるおそれがあるので油断は禁物です。

巨大企業『天覇』関係のボス戦用に用意した曲ですが、わかりやすい悪役ボルドさんのテーマとして覚えていただけるとうれしいです。ただ、わりかしこの人シリアスなムードとともに登場することが多いのでいまいちキャラテーマとしては印象が残りづらいかも。ちょっと残念。
ちなみにこの曲、パッと思いつくだけでも5~6曲の元ネタがあります。要は自分の好きなタイプの音楽のパーツをごった煮にしたような曲なわけですが、それゆえに今回制作した曲の中でもかなりのお気に入り。
とりあえずひとつだけ元ネタをばらしますと、メロディをとるシンセは「燃えよドラゴン」を意識してます。(阿知波)


ポコスコン(DISC01-30)
これも状況描写系ですね。こういった曲はある程度作り方の定石みたいなものがあるので、そこにどうひと味加えて個性を出すかが工夫のしどころです。この曲ではドラムンベースのループリズムにチープなシンセリードが載って、タイトルどおりポコスコポコスコと愉快でお気楽な雰囲気を演出しました。ドタバタシーン用の曲でしたが、『楽しい実験の時間』みたいな味わいも。(阿知波)

ササゲウタ(DISC01-33)
中国人女性による唄とも詠唱ともつかぬ声が宙を舞い踊るような、不思議な雰囲気の曲です。

中国の音源を集めた素材集に入っていたものを使っていますが、イメージとしては朱哲琴(ダダワ)を強烈に意識しました。
ソロアルバムで楽しめるダダワさんの歌声も素晴らしいですが、僕が一番好きなのは映画『チャイニーズ・ボックス』のサウンドトラックに収録された楽曲です。このサントラ、ベネチア映画祭で「オゼッラ金貨賞」を受賞したというだけあって(どんな賞かよく知らんけど)、個性的な楽曲が目白押しの素晴らしいアルバムで超おすすめ!スクリーミング・ジェイ・ホーキンスのパワーが凄すぎます。
・・実は映画館で予告編を見て速攻でサントラを買ったはいいが映画本編は未見だったり。 (阿知波)


Loki(DISC02-19)
アグレッシブなリズム隊とカッティングギターの上で、それと対比するかのように華麗な音色のコーラスとピアノがクッサクサなメロを唄うという、僕の好み全開のアレンジです。お耽美系っていうんですかね。我ながらだっさいの好きやなあ~と思いつつもついついやってしまう・・。

カッティングギターは庶民派DTM屋の味方(?)、あの懐かしの名機SC-88proの音色です。もっとリアルなギター音源に差しかえてみたりしたのですが、このいかにもシンセギターなゾリゾリした音色がこの曲には合うと判断して、このまま行くことにしました。実はほかの曲でも未だにハチプロをそこかしこで使ってたりします。(阿知波)


Sleipnir(DISC02-23)
これもギター・ベースともども16分で忙しくリフを刻む、一聴してそれとわかるボス戦の曲です。

イントロがお気に入りなのですが、ザクザク刻むギターを聴いていると耕運機が大挙して押し寄せてくるようなイメージが脳裏に浮かぶおそれがあるので油断は禁物です。
今回、中河さんにも無理をお願いして、インスト戦闘曲の題名はすべて北欧神話から引っ張ってきました。だからといってアルトネリコが北欧神話と特につながりが深いとか、そういうことでもありませんので誤解のなきよう。(もちろん数知れないリソースのうちのひとつであることは間違いないと思いますが)要は語感がかっこいいから使いたかったってだけなんですが。
めぼしいかっこいい名前は使い果たしたかな、と思ったら、例のあの槍の名前が残ってました。しまった使えばよかったなーと思いながらテストプレイしていたら、ゲームに登場するある重要なものの名前としてうまく使われていました。
偶然ながらうまいこと補完しあってよかったなと思ってます。(阿知波)